作品について

アントン・チェ−ホフ

ロシアの劇作家・小説家、そして医者。
1860年生まれ、1904年没。つまり、2010年は生誕150周年。
大学(ロシア大学医学部)時代から文筆活動をはじめる。
初・中期はおもに「ヴォードビル」と呼ばれるコミカルな短編戯曲や小説を多数発表。
「四大戯曲」と呼ばれる『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』『桜の園』は、晩年の作。そのほかの著作としては、『サハリン島』のルポルタージュが有名(村上春樹が『1Q84』で言及している)。戯曲はほとんどが発表後すぐに上演され、とくにモスクワ芸術座創生期の人気演目としてその活動に大きな影響を与える。
現在でも、ロシアや日本、さらには世界中で、多くの戯曲が上演されている。


『結婚申込』

1889年初演のヴォードビル。
男が隣家の娘に結婚申込に行くが、両家の境界にある土地の所有権や互いの飼い犬の優劣などについて娘やその父と口論し、せっかくの結婚申込は風前のともし火。けれども、頭に血が上った男が気絶したとたん、父娘が男を気づかい、申込が成就する。


『結婚披露宴』

1890年初演のヴォードビル。
ある男女の結婚披露宴が舞台。宴席に箔をつけるために主賓として招かれた将軍は、実際はただの退役中佐であることが判明。その中佐が酔っ払ってわめきだし、祝宴を混乱におとしめてしまうドタバタ喜劇。


『三人姉妹』

チェーホフ「四大戯曲」の一つ。1900年執筆、翌年モスクワ芸術座により初演。
ロシアの片田舎に住む三人姉妹。その父は11年前に家族とともにモスクワからこの地に移り住んだが、昨年亡くなっている。知人・友人が彼女たちの家を訪れ語り合う中で、亡き父への思いや不義の恋心、モスクワへの郷愁など、三人三様の心模様が揺れ動く。様々な事件ののちに人々が去ったあと、残された三人姉妹は自らの所在なさ・不安定さに思いを募らせる。